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「排尿時に火が出るみたいなのに、検査では正常だと言われます」| 閉経後に繰り返す慢性膀胱炎の隠れた原因
コラム 2026年3月31日

「排尿時に火が出るみたいなのに、検査では正常だと言われます」| 閉経後に繰り返す慢性膀胱炎の隠れた原因

崔長赫(チェ・ジャンヒョク)
崔長赫(チェ・ジャンヒョク)
院長

image.png乾いた野原から送られてきたシグナル

「排尿のたびに火がついたような感じがするんです。でも検査をしても菌が出ないって言われて。
下腹部はいつも重ったるいし、夜も二三回目が覚めます。
この年になったらみんなそうだと言われるけど、私だけ大げさなんでしょうか。」

これは53歳の学習塾講師ソニョンさん(仮名)が初めて私を訪ねてきたときに言った言葉です。
ソニョンさんは午前から夕方まで続く授業の合間に、トイレへ行くことが難しい状況でした。
だからなるべく水を飲まないようにしており、授業中も下腹部の重ったるい感覚が気になり続けていました。

症状は閉経が始まった2年前から徐々に現れていました。
最初は軽い残尿感程度でしたが、昨年の冬に寒波が押し寄せた頃、急に悪化しました。

泌尿器科を三か所回りました。
抗生物質を飲むと数日は楽になるのですが、またぶり返しました。
尿検査では菌が出ず、膀胱内視鏡も正常でした。

「異常がないと言われる瞬間が、一番途方に暮れました。」
ソニョンさんは静かにそう話しました。

私はソニョンさんの症状を、単純な膀胱感染としては見ませんでした。
検査結果が正常であるということは、細菌が問題ではなく、
膀胱を取り巻く環境そのものが変化しているという意味かもしれないからです。

こうした話を聞くたびに、患者さんの苦しみに深く共感します。
目に見える原因がないと言われることが、「あなたの痛みには根拠がない」という言葉に聞こえることがあるからです。
では、検査では捉えられないこの痛みの正体は何でしょうか。

image.png乾いていく井戸、燃え上がる熱

漢方医学では、このような状態を陰虚火旺(陰虛火旺)と言います。
体内の水分、つまり津液が減ることで、相対的に熱が上へと上昇する状態のことです。
干上がった田んぼを思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。
水が十分なときは田んぼの底が潤って柔らかいのですが、水が引くと土が割れひびが入ります。
私たちの膀胱の粘膜も同じです。
水分と潤いを保つ力が減ると、粘膜は薄くなり、刺激を受けやすくなります。

漢方医学ではこの力の根源を腎(じん)と見ます。
腎陰虚(腎陰虛)とは、腎臓が体を滋養し潤す機能が弱まった状態です。
年齢を重ねるにつれて、特に閉経を過ぎると、この滋養する能力は自然に低下します。

現代医学でも、閉経後にエストロゲンが減少すると、
尿路粘膜が薄くなり防御バリアが弱まることはよく知られています。

漢方医学の腎陰虚と現代医学のエストロゲン低下は、異なる言葉で同じ現象を指し示しているわけです。

ここでもう一つ重要なことがあります。
粘膜が乾いた膀胱は、誤作動する警報器のようになります。
実際には細菌が侵入していなくても、わずかな刺激に過敏に反応して、痛みや頻尿のシグナルを送ります。
検査で菌が出ないのに症状が続く理由が、まさにここにあります。

この過程は悪循環を生みます。
津液が不足して粘膜が乾き、
乾いた粘膜が過敏反応を引き起こし、
頻尿が繰り返されるので水を飲むことをさらに避けるようになり、
そうすると粘膜はますます乾いていきます。

単に症状を抑えるのではなく、この連鎖そのものを断ち切らなければならない理由です。

image.pngでは、この乾燥から抜け出す方法はないのか

まず見直すべきことは、逆説的に聞こえるかもしれませんが、水です。
ソニョンさんのようにトイレが心配で水を減らしている方が多くいます。
でも水分が不足すると尿が濃くなり、濃い尿はすでに敏感になっている粘膜をさらに刺激します。
一度にたくさん飲むより、少量を頻繁にこまめに飲む方が良いでしょう。
コーヒーや緑茶のようなカフェインを含む飲み物は膀胱を刺激することがあるので、減らすことをお勧めします。

冷たい風や冷気も下腹部の血液循環を妨げ、症状を悪化させます。
特に冬場は下腹部と腰を温かく保つだけでも変化を感じる方が多くいます。
温かい湯たんぽを下腹部に当てる習慣も助けになります。

漢方医学では、足の内側の**三陰交(三陰交)**というツボをやさしく押すことをすすめることがあります。
このツボは腎・肝・脾の気が集まる場所で、下腹部の循環と津液の補充に役立ちます。
寝る前に両側を交互に3分程度しっかり押すとよいでしょう。

もし尿に血が混じったり、高熱を伴ったり、腰の痛みが強くなったりした場合は、単純な慢性症状ではない可能性がありますので、すぐに医療機関を受診してください。

image.png再び満たされる井戸

ソニョンさんには正直にお伝えしました。
この症状は薬を一、二回飲んで終わるものではないと。
でも体の環境を変えるプロセスを着実に踏んでいけば、必ず変わると。
3か月後、ソニョンさんは授業中2時間を、トイレの心配なく過ごせるようになりました。

体が送るシグナルに耳を傾けてください。
検査で捉えられないからといって、あなたの痛みが軽いという意味ではありません。
あなたの体は、自らバランスを取り戻す素晴らしい回復力を持っています。
私の役割は、その回復の鍵を一緒に探していく協力者です。
私でなくても、体全体を丁寧に見てくださる医療者にぜひ相談してみてください。
干上がった井戸も、また水脈を見つけることができます。
個々の体質と状態に合わせたアプローチが、その水脈の始まりです。

✍️ 東済堂韓医院院長 崔章赫 監修

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崔長赫(チェ・ジャンヒョク)

崔長赫(チェ・ジャンヒョク) 院長

20年の臨床経験を通じて、ダイエットから難治性疾患まで、体のバランスを取り戻す統合的な治癒ソリューションを提供します。

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